狂犬病ワクチン(予防注射液)のことと接種料金改定のお知らせ 2020年11月17日

 
 
 
 

現在製造されている動物用狂犬病ワクチン(予防注射液)は昭和60年に認定された組織培養不活化ワクチンで、とても安全な製品となっています。接種の後に起きる可能性のある副反応の発生率は0.0044%とされ、国内で流通しているジステンパーの混合ワクチンよりも副反応が少ないと報告されています。

 

このワクチンは昭和25年に狂犬病予防法が施行された際に、犬への集団接種を念頭に複数の接種頭数分を1本にまとめて製造された歴史があり、現在もそのまま10頭分が1本に収められています。

 

狂犬病予防注射は予防法施行当時は年に2回接種しなくてはなりませんでした。それはワクチンの性能が低かったからとされています。しかし、昭和60年に現在の型に改定されて性能が向上したことを機に、年1回接種に改められました。さらにその実施は当時の国の事務通知によって「獣医師会と協力して犬を集合させて低料金で実施すること」とされ、現在まで続けられているのはご承知の通りです。

さらにこの接種は法の規則により4月から6月の間に行うよう規定されています。国内の各自治体はこの三か月間に実施計画を立てて実行しています。従いまして、この間には集中して接種が行われるため大量のワクチンが消費されていました。

 

さて、このワクチンの使用説明書には「使用上の注意」という項目があり、その中に(取扱い及び廃棄のための注意)という小項目があります。その中には

 

一度開封したワクチンは速やかに使用すること。使い残りのワクチンは雑菌の混入や効力低下の恐れがあるので、使用しないこと。

 

と書かれています。これは当日使い残ったワクチンは廃棄することという意味です。

集団注射が実施されている期間は1日に大量のワクチンを消費しますから使い残りはほぼ出ないか無視できる範囲ですが、6月末日以降は1日に10頭注射する(瓶1本消費する)ことは、ほぼなくなります。

 

今年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響として、厚生労働省は12月末日まで注射期間を延長しました。このため、当院では月に1頭ペースで注射を実施してまいりました。そして残りの9頭分は廃棄を余儀なくされています。

 

6月以降、これまでに実に50頭分以上のワクチンをゴミとして廃棄せざるを得ませんでした。

大変もったいないだけではなく、集団接種の時と同じ料金で実施してきた当院としては赤字額も無視できない状況にあります。

おそらく12月も1、2本のワクチンを無駄に消費することになるでしょう。

 

世界を見渡すと、犬の狂犬病は人の狂犬病の最大の原因とされ、犬猫にワクチン接種が広く行われていますが、私の知る範囲ではすべての国が1頭1本という製品が使用されています。

このような製品なら、今当院で起きている無駄はゼロにすることができますから、1頭1本の製品にするよう国や上部組織にたびたび訴えてきましたが、彼らは重い腰をあげようとしません。

 

私はこれまで、狂犬病予防は獣医師に課せられた重い任務と考えて接種も採算度外視で行ってまいりました。しかし、この状態が来年以降も続くとなれば、値上げに踏み切らざるを得ません。

 

来年度(令和3年度)の実施は未定ですが、集団接種が終了した後の接種料金は1頭5,000円程度に値上げを余儀なくされると思います。

 
 
 

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